4月6日(土)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん11
憐憫(れんびん:ふびんに思うこと)
残滓(残りかす)
曖昧模糊
静謐(せいひつ:静かで落ち着いていること)
正眼に構える
玲瓏(れいろう:澄んだ音色が美しく響く様)
諸手をあげる
視線が蚊のようにまとわりつく
研鑽(けんさん:みがき深めること)
豊穣(穀物が豊かに実ること)
益体(らちもあかない)
ーばくばくばくと、叔母の食べ進む具合はいつものように景気がいい。
ー水をちびちびと飲んでいると、
ー2人で並んでもしゃる。もしゃしゃと急ぐ。濃厚なバニラ味だ。アイスの固まりを舌に載せて、巻くように呑み込む。一気に訪れる温度の変化に頬が引き締まる。そのまま溶かしきれずに呑み込んで、喉と胃までの通り道を鋭く冷やして、じたばたする。
ー寒天らしく、スプーンで押すとぷるぷるした。そのぷるぷるを口に流し込むように入れる。…甘い。想像していたより何倍も甘かった。歯ぐきがわななくくらいだった。冷たい物が通り過ぎる度に快感があった。歯に染みるほど甘い。濃厚で、染みて、喉から目の奥にまで届くものがあった。
ー光は屈折して色を変えると昔習った。人間の性格も大本は一緒で、屈折した別の色をみているだけなのかもしれない。
ー呼吸と、心臓の痛みに依存しながら、自分を確かめる。
ー私は主を失って寂しくなった椅子と再び合体する。
ーこの重苦しい頭と身体を捨ててしまえればと、時々願う。目と鼻の先にある海は、そうした私の願いを汲み取るように静かに広がる。ここに飛び込めば、溶けてしまえる気がした。
ー茜色の雲がゆるゆると、糸に釣られるように空を泳ぐ。
ー人間はどんな状況でも幸せになる方法を探すし、諦めない。生まれたときからそういうものを持っている。それは不治の病のようでもあるし、生きることそのものかもしれない。