5月14日(火)女生徒
ートコロテンがそろっと押し出される時のような柔軟性
ー五月のキュウリの青味には、胸がカラッポになるような、うずくような、くすぐったいような悲しさが在る。
ー嘘をつかない人なんて、あるかしら。あったら、その人は、永遠に敗北者だ。
ー個性のないこと。深味のないこと。正しい希望、正しい野心、そんなものから遠く離れていること。つまり、理想の無いこと。批判はあっても、自分の生活に直接むすびつける積極性のないこと。無反省。本当の自覚、自愛、自重がない。勇気のある行動をしても、そのあらゆる結果について、責任が持てるかどうか。自分の周囲の生活様式には順応し、これを処理することに巧みであるが、自分、ならびに自分の周囲の生活に、正しい強い愛情をもっていない。本当の意味の謙遜がない。独創性にとぼしい。模倣だらけだ。人間本来の「愛」の感覚が欠如してしまっている。お上品ぶっていながら、気品がない。
ー本能、という言葉に突き当たると、泣いてみたくなる。本能の大きさ、私たちの意思では動かせない力、そんなことが、自分の時々のいろんなことから判って来ると、気が狂いそうな気持になる。
ーナンジャラホイと思った。ばかばかしい。私は、少し幸福すぎるのかも知れない。
ー人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。