大福成長日記

本を読んで心に残った言葉を書いたり、知ったことをまとめたり…

6月1日(土) 平野紗季子

 

猫と喫茶と花壇を愛する友人の小谷実由ちゃんが、犬かよ散歩に付き合ってくれることになった。おみゆは小さい頃このあたりに住んでいて土地勘があり、平井駅にはピアノ教室で通っていたそうだ。ちなみにその教室を選んだ決めては念に1回教室のみんなでディズニーランドに行ける得点があったから。「でも先生が怖くて数年で辞めたんだよね」(これ、おみゆクイズに出ます)

 

平井駅前にはワンモアという憧れの喫茶店があって、何度も行ったことのあるおみゆに感想を聞いては羨ましがっていた。ついに今日、私も本物に会えるのだ。そわそわしながらおみゆにくっついていくと、ワンモアのロゴを掲げた店が角地に立っていた。これだあ。神社に参拝にでも来たかのように、しばらく外からいいなあ、素敵だなあと眺めつつ心を整えていると、近所のマダムが続々自転車でやってきて店へ吸い込まれていく。街に愛されているんだなあ。ようやく気が済んで店に入ったら一番良い席は先客のマダムたちに取られてしまっていた。でもまあいいのだ。欲張りはいけない。新参者はおとなしく黒い席に坐る。頼むものは決めていた。輪切りのレモンがてろんと載った正方形のフレンチトースト。小ぶりでフッカフカで耳はピシッと切りそろえられていて、端正とか控えめとかいう言葉が似合う。そんなのハワイでもパリでもニューヨークでも出会えない。ジャパニーズ喫茶ならではのフレンチトーストだ。ちょっと豆腐っぽいし。一緒に頼んだパンケーキも小ぶりで、バターがさっと塗られていてとてもきれい。彼らがワンモアの小さなテーブルに載ると、そのサイズ感もまたしっくりくる。小ぶりの甘味に小ぶりのテーブル。それらを肩寄せ合って食べるのだから、自然と人との距離も縮まる。秘密の話だってしやすい。ここに生まれる親密な空気は、でかでかとしたパンケーキと板のようなテーブルを囲むファミリーレストランでは絶対にありえないよなあと思う。

 

湯気の出てるおにぎりってどうしてこんなに気高いの。結び立てのおにぎりホカァ。

 

ギイギイいって老体に鞭を打って我々を二階へ運んでくれた。

 

これまたすごいよ。バングラデシュ家庭料理の店。どれにも勝るこの細長さ。ぎゅうぎゅうさ。スパイス屋の倉庫のすみっこでごはん食べさせてもらってる気分。

 

店頭で何かを焼いて、街に香りを放つタイプのショップはいつもスルーできない。どちらもずるいおいしさ。

 

平井を堪能した後は小腹が空いたね、となって川を渡って四つ木へ行った。おみゆ家懐かしの憩いの場で、普通においしい醤油ラーメンと普通においしいフライドポテトを食べてぼーっとした。なんだろうねこの夏休み感。隣で🎮をしている小学生の男の子たちと同じ目線になる。もうアラサーになろうという妙齢女子2人で平日の昼間から何をしているんだろうな。